「陰翳礼讃」(著:谷崎潤一郎、写真:大川 裕弘)を読みました。
こんなに贅沢な一冊があっていいんですか……!?と言いたくなるような本でした。
掲載されている写真、一枚一枚の美しさよ。
まえがきで「取り合わせ」としたためられていたのも頷けます。
以下、うまくまとめられなかった箇条書きのような感想です。
陰翳礼讃を読んでいて思ったのは、ぼんやりとした柔らかな光を好むの、わかるな~~~!ということ。
定規でまっすぐ引いたような光は、炙り出されているようで、強すぎる。
おなじ光量でも、和紙を通した柔らかな光のほうが好ましいと思う。
心地よさを感じる和室の、どことなくまろみを感じる雰囲気というのは、こういう光から醸し出されているのかもしれない。
本文中に、「女性は暗がりに溶け込む」というような記述があったのも、実感として頷ける。
別に性別で異なるとは思わないけれど、暗がりがあるとそのなかに溶け込んでいくような、「なにか」でなきゃいけない感覚から逃れて無を楽しめるような、そんな感覚があると思う。
ピカピカしたものは緊張を引き立たせて柔らかな光は心地よさをもたらす、といったような記述。
そこから考えると、コントラストのなだらかな、連綿とした流れみたいなものに美しさを感じるのかしら。
Twitterでも昔「グラデーションを美しいと感じるものだと教わったから、できるだけグラデーションを使わないようにして仕上げている」というポストがあったけれど、同じ系統な気もする。
本当、写真集としても楽しめる素敵な一冊でした。
写真からい草の香りがするまろみのある空気が流れてくるような心地。
暗がり、コントラスト、翳り、調和といったキーワードが気にかかる人は、ぜひ手に取ってみてほしいと思う。