「正欲」を読みました。
※内容に触れますのでこれから読もうとしている方はご注意ください※
あああ…苦い…!!!
この本で、私のなかの「多様性」と「マジョリティ」の概念がガラッと変わりましたね。
多様性はあってしかるべきだとは思う。
でも、「本当にヤバイ奴らは除く」その考えに組み込まれてしまっていることは自覚していて。
結局は、自分が許容できる範囲内でなら多少の自由は「認めてあげる」の立ち位置にいるという傲慢さを突きつけられました。
登場人物のなかでは、八重子に対して一番苦手意識を持ちながら読み進めていたんですが、「建造物侵入とか窃盗とか、やっちゃいけないことはやっちゃだめじゃん」っていうスタンスが重要だななんて読後にかみしめてみるなど。
やっちゃだめなものはだめ。自重しながら折り合いを付けて、なんとか共存していくしかない。
「本当にヤバイ奴」が身近にいることを知りながら、糾弾や排斥はしない。マジョリティから外れた異質であることを自覚し、パーティを組みながらつながりを持って制限のなか生きる。その双方があってようやく成り立つのかなぁ…。ただ、被害に遭う前に排斥したい→マジョリティの岸の安全を守りたい、はわかってしまうわけで…。
うーん、苦い。
でもその一方で、少しだけ救いになったのが、佳道と夏月。
互いに生きるための摩擦になれたこと。
最終的にもらい事故のような形で捕まり実名報道までされて、それでもなお「いなくならない」をそれぞれが口にできるようになったこと。
ア”~~~~~~~~~本当に、このふたりに救いを…
とりあえず田吉は処したいけども、心の中に田吉のような感情がないかと言われれば、断言はできなくて。心の醜さを突きつけられるような、でも「しょうがない、でないと大切な人に被害が出たり勝手に消費されたりするから」とも思ってしまうような。
苦い、苦いよう。